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「当然対抗制度」の導入?

●著作物ライセンスの「当然対抗制度」の導入?

今年も著作権法改正の検討がされています。「ダウンロード違法化」、「写り込みに係る制限規定」がメインのトピックとなっています。その中に、著作物ライセンスの「当然対抗制度の導入」が加わることになりそうです。

●現行法における問題

著作権のライセンシーは、仮に著作権がM&A等によって譲渡されてしまったり、権利者が破産してしまったりした場合には、新たな権利者から権利主張されたり、破産管財人からライセンス契約を解除されたりするリスクがあります。つまり、ライセンシーは新たな権利者に対抗する術を持たない、法的に不安定な地位にあるのです。ライセンシーは契約等により、そうしたリスクに備えるのが通例です。実務上、いくつかの対策が施されますが、いずれも不十分であると考えられています。

●当然対抗制度の導入

当然対抗制度が導入されると、仮に、ライセンサーの保有する権利が第三者に譲渡されてしまったとしても、ライセンシーには利用を継続する権利があるということになります。

ただし、旧ライセンサーとの契約内容が、新ライセンサーとの間にも引き継がれるのかという問題があります。現時点では、著作物や取引の多様性を考慮して、一律に定めるのはなく、個別の事案ごとに判断していくということになっています。

●著作権管理上の対応

(1)    自らがライセンシーの場合

 従前からのライセンス契約があれば、登録等の手続きを要さず、利用権の対抗が可能になります。契約締結の事実を証明するものとしては、契約書以外に考えられません。契約書の重要性がこれまで以上に増すことになります。

(2)    自らが権利者の場合

 著作権を第三者に譲渡する場合、ライセンシーに対する義務を確認する必要があります。また、譲受人からは、ライセンス契約の内容について、開示を求められることもあり得ます。

なお、当然対抗制度が導入されれば、ライセンス契約をしていない場合でも、これまで以上に慎重な方法で、その表明・保証を求められることになるでしょう。

(3)    自らが譲受人の場合

 当然対抗制度が導入されると、著作権の譲受後に移転の登録をしても、ライセンシーには対抗できません。独占的利用を期待するなら、譲受すること自体の再検討が必要になります。また、デューデリジェンスがより重要性を増すでしょう。

(Blau=Baum)

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