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手塚治虫 x AI + 著作権 (1/3)

「ストーリー漫画」の草分け

 手塚治虫(1928-1989)は、言わずと知れた日本漫画界の第一人者です。漫画の歴史については、諸説あります。高山寺の「鳥獣戯画」が漫画の原点であると言われたり、江戸時代の「画図百鬼夜行」などの妖怪本を漫画と捉えたりする説もあります。また、「北斎漫画」が「漫画」という言葉を一般的な呼び名とするきっかけとなったとする説などもあります。そうすると「漫画」は古くから存在したと考えることができるわけです。

 では、手塚治虫が「第一人者」とされるのはなぜなのでしょう?「鉄腕アトム」の連載開始は1952年です。それよりも前の1946年には、すでに長谷川町子の「サザエさん」の新聞連載が始まっています。そんな中、手塚治虫の作品はそれまでの漫画とは一線を画するものと評価されるようになります。映画好きであった手塚治虫は、コマ割り、吹き出し、効果線などを駆使してドラマチックな“物語”を紡ぎだしていったのです。つまり、「ストーリー漫画」の草分けであることが、手塚治虫を「第一人者」と言わしめる所以なのです。

手塚治虫の”新作”とAIの役割

 手塚治虫が亡くなってから、ずいぶん経ちます。その“新作”が発表されるとなれば、当然、気になります。どういうことかと思ったら、そんなことを可能にするのはやはりAIでした。新作「ぱいどん」において、AIが果たした役割はプロットおよびキャラクターデザインの原案の生成ということです。プロットとは、いわば物語の構成要素のことです。ぶつ切りされた“出来事”を時系列に並べることで物語を完成させるのです。また、キャラクターデザインの原案を生成するために「StyleGAN」と呼ばれる手法が用いられたということです。大量の人間の顔をAIに学習させ、さらに手塚治虫の絵を学習させ、その結果として手塚治虫“風”のキャラクター画像を生成させたのです。なるほど、「ぱいどん」を見ているとむかし読んだ「ブラックジャック」、「火の鳥」、それに「アドルフに告ぐ」などの作品が懐かしく思い出されます。(つづく)

(Blau=Baum)

参考:

「TEZUKA2020」プロジェクト、TEZUKA PRODUCTIONS、2020MEDIA Corporation、”手塚治虫AI、始動。”、モーニング、2020、No.13、p.3-5

「TEZUKA2020」プロジェクト、”新作漫画ぱいどん phase1前編”、モーニング、2020、No.13、p.6-27

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