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手塚治虫 x AI + 著作権 (3/3)

「ぱいどん」の著作権

 著作権法において、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」とされています。AIに「思想又は感情」はありませんので、AIが自動的に生成したものは著作物とは言えません。しかし、「ぱいどん」はAIが自動的に生成したわけではなく、人間がAIをツールとして使用して出来上がった作品です。

  • ストーリー

 「ぱいどん」のストーリーは、AIに生成させたプロットをもとにして、人間が完成させたといいます。ということは、「ぱいどん」のストーリーは人間の「思想又は感情」が表現されたものだと言えます。つまり、「ぱいどん」の原作は著作物ということになります。ちなみに、AIが生成したかどうかに関係なく、ストーリーが完成する以前の構成要素にすぎないプロットは著作物とは言えず、著作権法の保護対象にはならないとされています。

  • キャラクターデザイン

 キャラクターデザインの原案となる元の画像を生成したのはAIだということです。とすると、その元画像は著作物にはならないと思われます。しかし、ネーム、作画、背景は人間の手によるものだということです。当然、出来上がった作品は著作物だと言えます。

 ただ、AIが生成した画像が著作物ではなく、著作権法の保護対象にならないとすると少しおかしなことが起こりそうです。元画像は、誰でも無断で使用できるということになりはしないでしょうか。「ぱいどん」と同じ顔のキャラクターを使って、全く別の漫画を描くことが許されるのでしょうか?無断で元画像を使った場合、不正競争防止法や民法の一般不法行為といった他の法律によって、問題となるかもしれません。なんだかAIの生成する画像については、コンセプトアートに関して著作権法が抱える問題に近しいものがあるように思われます。

  • 著作者

 著作者は「手塚治虫」となるのでしょうか?もちろん、そうはなりません。では、ストーリーを完成させた人や作画をした人などが著作者ということになるのでしょうか?それも違います。

 著作権法には、「職務著作」という規定があります。簡単に言うと、会社などに雇用されている人が職務上創作した著作物について、その著作権は雇用主である会社に帰属するという決まりのことです。その場合、著作者はその会社ということになります。「ぱいどん」の著作者は、「『TEZUKA2020』プロジェクト」となっています。

  • 「思想又は感情」

 著作権法上の「著作物」であるかどうかは、人間が「思想又は感情を創作的に表現」しているかどうかで判断されます。でも、もしかするとAIに「思想又は感情」があると考えざるを得ないような日が来ないとも限りません。そのとき我々はまるで手塚治虫が描いた“未来の人間”と同じように、ジレンマに陥ることになるのかもしれません。

(Blau=Baum)

参考:

「TEZUKA2020」プロジェクト、TEZUKA PRODUCTIONS、2020MEDIA Corporation、”手塚治虫AI、始動。”、モーニング、2020、No.13、p.3-5

「TEZUKA2020」プロジェクト、”新作漫画ぱいどん phase1前編”、モーニング、2020、No.13、p.6-27

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