「非営利」での利用はOK?

著作権法には、著作権を行使できない場合が定められています。これを「制限規定」といいます。そのひとつに著作権法第38条「営利を目的としない上演等」があります。これが通称「非営利・無償・無報酬」と呼ばれ、著作権者の許諾を得なくても著作物を利用できる場合のひとつとされているわけです。
この「『非営利』ならOK」というのがひとり歩きしてしまい、ずいぶん誤解もあるようです。「入場料を取らなければいい」というような、単純な話ではありません。きちんと整理していきましょう。許諾が不要となるのは、以下の3つの条件がすべて揃う場合だけです。

(1) 入場料などの料金を受け取らない場合
(2) 出演者に報酬が支払われない場合
(3) 営利を目的としない場合

そして、もうひとつ重要なのは、どんな利用の仕方をしてもよいというわけではないことです。この「非営利」での利用が許されるのは、「上演」、「演奏」、「上映」、「口述」だけです。「複製」や「公衆送信」は認められていませんので、録音、録画、ネット配信は無断ではできません。「非営利」のコンサートやライブであったとしても、その様子をインターネットで配信するには許諾が必要ということです。

さて、上記(1)~(3)について、もう少し掘り下げてみましょう。

(1)入場料などの料金を受け取らない場合
ここでいう「料金」とはどういうものでしょうか?「料金」と見なされるものとして、チャリティコンサートでの「寄付金」がよく例として挙げられます。また、ファンクラブの会員が無料となるようなライブであっても、会費を払っている以上、その会費の一部が「料金」という扱いになります。

(2)出演者に報酬が支払われない場合
ここでいう「報酬」には、出演料やご祝儀はもちろんのこと、車代、弁当代、宿泊代などの名目であっても、それが実費を超えて「報酬」にあたると解される場合には、許諾が必要となります。

(3)営利を目的としない場合
ここでいう「営利」とは、どのようなことでしょうか?入場料のように直接的な営利目的でなくても、間接的に営利につながるという場合には、「営利目的」とされます。例えば、無料の試写会であっても、それが宣伝目的であれば、営利性があると判断されます。また、町内会主催のカラオケ大会で、参加費・入場料とも無料であっても、賞品が新発売の「お菓子1年分」などというように、明らかにキャンペーンが目的であると解される場合、非営利とは認められないでしょう。

さらにもうひとつ、注意しなければいけないことがあります。それは、「非営利」であっても、翻訳・編曲等、翻案するには許諾が必要ということです。「非営利」と聞いて、「入場料を取らない」ことと安易に考えてはいけません。

無料相談はこちらから!

アメリカ著作権登録はこちら!

結婚式で使う音楽の相談はこちら!

ページ上部へ戻る